人はなぜ逃げおくれるのか
植村氏のブログを読んでの雑感
http://nuemura.com/item_1145.html
正常化バイアスに限らず、「まぁ大丈夫だろう」と思いたくなる、という罠は意外と多い。
災害の文脈だとパニックを恐れて、となるけれど、日常や企業の活動においてはいろいろな面倒ごとや、批判や、なんやかやを恐れて、そう思いたくなる。
そのほうが、精神的に楽だとか、そういう理由なんだろう。
そういえば、植村氏の少し前のエントリーで紹介されていた、「なぜリーダーは「失敗」を認められないのか」も、そういった失敗事例集だった。この本は実際に買って読んだところ、素直におすすめできる良書だった。
完全に推測だが、今回のエントリーと併せて考えると、現在FSAにいらっしゃる植村氏のある種の問題意識が表れているような気がした。
なぜリーダーは「失敗」を認められないのか―現実に向き合うための8の教訓
- 作者: リチャードSテドロー,土方奈美
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
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今回原発の一件も、途中に「まぁ大丈夫だろう」が挟まって事態が悪くなっているのが聞こえてきている。
「まぁ大丈夫だろう」が「大丈夫じゃなくなるとき」の影響というのは、それで引き伸ばしてきてしまった期間が長いほど甚大な影響があると思っていて、生保会社のアクチュアリー(の受験者)としてはまさに心しなければならない部分なのではないかと思うわけで。
金融の国際化・自由化の中でどんどん変化の潮流が加速している中で、たとえば、商品開発において、ある重要な変化を見逃して、「まぁ前回並みでこんなもんで大丈夫だろう」と基礎率を設定してしまったら。逆に、変化してるからしょうがないじゃん、と、基礎率をどんどん変えていってしまったら。
多分影響が出るのは10年とか、それ以上先の場合もあるはずで、しかもそれは突然やってくる場合もある。そんなことを考えてみると、上述の問題意識がなんとなく判ったような気になってくる。