公平性。

欧州司法裁判所、性差に基づく保険料設定を禁止
http://jp.wsj.com/World/Europe/node_190273
保険の男女別料金は違法 欧州司法裁が是正命令
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011030201000198.html

生保アク(受験生)らしい話題を。

理論的には、同一の保険料を適用する集団は同程度のリスクをもつ集団でなければならない。これを「保険技術的公平性」という。
一方で、高リスクの人の保険料率が高騰して必要な保険に加入できないことや、先天的疾患に対して区分をすることが社会的に問題視されたりする。社会的に容認されない要素で料率区分をしないことも重要である。明確な定義は無いが、これを「社会的公平性」ということにする。

頭記のニュースは、社会的公平性に重きを置いたことになる。もともと欧州では一部で男女同料率であったが、ここまで明確に断じるのはちょっと驚き。原則主義的過ぎやしないか。豪州や英国の例を今教科書*1で確認しているが、「信頼できる裏づけデータがある」等の条件付で男女別料率が認められている。そして、男女のリスク差の裏づけデータなんて最も豊富だと思うのだが。(年齢による差の方が多いか?)

ただ、ことわっておくと、何が何でも男女別に分けなさいと主張する気もない。例えば、ターゲットにする年齢層にもよるが、貯蓄性だったら男女同率でもいいんじゃないかと思う。一方、変額年金はそろそろどこか男女年齢別を打ち出してもいいのではないかと思うのだが、販売上面倒になりそうで、やっぱり難しいのかな。理論上正しくても、社会的に受容されない保険は、意味が無い。

気になるのは、契約者配当である。男女同料率にした場合、契約者配当で調整するというのは海外資料でよく見る話。これも違法になるんじゃないのかしら、と思っている。

最後に、僕の文章よりもっと参考になるブログを載せて終わる。
http://blog.livedoor.jp/actuaryjp/archives/1241567.html
http://iwk.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-990d.html

*1:日本アクチュアリー会「保険1(生命保険)第1章」